はじめに
この記事は、『身近な人間関係が変わる 大切な人に読んでほしい本』(フィリッパ・ペリー著、高山真由美訳、日本経済新聞出版)の第1章を読んで、筆者が印象に残ったポイントを紹介し、考えをまとめたものです。
今回は試験的に、1冊の本について複数記事を書くことにしました。順次公開予定ですので、気になったところだけでも目を通していただけたらと思います。
筆者の解釈が多分に含まれる内容となっている点をご理解ください。また、本書の具体的な内容について触れるため、一部ネタバレを含む可能性があることもご了承ください。
本書の魅力と概要
本書の第1章は、人間関係の本質や愛の在り方について、心理療法士として長年勤務した経験を持つ著者が独自の視点から考察した内容となっています。
人と人とのつながりを育むために必要な勇気、自分自身を受け入れる大切さ、そして深い関係を築くために何が求められるのかが丁寧に述べられています。
また、私たちが日常的に陥りがちな思い込みや偏見に焦点を当て、それを乗り越えてより豊かな人間関係を築くヒントが盛りだくさんの内容になっています。
特に第1章では、他者とのつながりを深めるためには、自分の弱さをさらけ出し、自然体でいることの重要性が強調されています。厳しい現実を突きつけられる一方で、読むと勇気が湧いてくる一冊です。
罪を憎んで人を憎まず
第1章で最も印象的だったと感じたのは、人はみな間違いをおかすが、その過ちがその人の価値を決めるわけではないという視点です。
私たちは人と、その人がおかした過ちを同一視しがちですが、著者はそのような考えから解放されることの大切さを説いています。人とその過ちを分離して捉えることができれば、自然と他者を批判したり見下したりする気持ちが湧き上がらなくなるのではないでしょうか。また、自分の失敗が自分の価値を損ねるものではないという気づきにもつながり、必要以上に自分を卑下することもなくなります。
まさに、罪を憎んで人を憎まずですね。このように、人とその人がおかした過ちを分離する視点は、自己受容と他者への寛容を促し、それが人間関係の改善につながるということです。
自己開示しないというリスク
また、他者との関係を築く上で重要なのは、自分を飾らずにありのままの姿を見せる勇気だと著者は言います。心を開き、自分の弱さを見せることで初めて本物のつながりが生まれるということです。
もちろん、ありのままの自分を開示することはノーリスクではなく、それによって関係が悪化することも考えられます。しかし、嫌われるリスクを恐れることなく、自分の考えを発信し、自然体でいることではじめて、本物のつながりを得るチャンスが生じるのです。
別の見方をすると、ありのままの姿を見せなければそれはそれで、本物のつながりを得る機会が永遠に訪れず、生涯を通して孤独を味わうというリスクを抱えることになるということです。
どうでしょうか?どちらにせよリスクがあると考えると、少し勇気を出して自己開示してみるかという気分になりやすいのではないでしょうか。
成熟した愛のかたち
著者は成熟した愛を、一方がもう一方を支えるだけではなく、互いに支え合う関係のことだと表現しています。
最初の情熱だけでは長続きしないため、相手を思いやり、共に歩んでいく姿勢が必要だということです。また、筆者にとって衝撃的だったのは、好きだと思う相手が相性の良い相手とは限らないという考えです。落ち着いて考えてみると深く納得できるのでなおさら、今までその視点を持っていなかったことに衝撃を受けました。
まとめると、ここでいう愛は、夢中になるだけで終わらず、満足を見いだすために互いに支え合う関係性なのだということになります。この視点は、パートナーとの関係に限らず、家族関係や友人関係においても重要なものだと感じました。
自分の人生を決めるのはだれ?
最後に、この章では自己探求の重要性を強調しています。
私たちは油断するとすぐに他者に依存してしまいますが、自分自身のあり方を見つめ直し、自分の価値を知ることが真の幸せへの鍵であると説かれています。自分を見失わず、ありのままの自分でいる。誰かのための人生を生きるのではなく、自らの人生は自らで決める。そうすることで、他者とも健全な関係を築けるのだそうです。
それが例え長年連れ添ったパートナーであっても、望まない人生を強いられたらそこから抜けださなければならない。その上で、その後もあなたのもとにとどまるか、離れてゆくかはパートナー次第であると述べられています。筆者としてはそこまで割り切るのは難しいと思いますが、そういうあり方が一つの理想であるということには賛同します。
このメッセージは読者に、自分自身のあり方を見直すきっかけを与えてくれていると思います。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
本記事では、『身近な人間関係が変わる 大切な人に読んでほしい本』(フィリッパ・ペリー著、高山真由美訳、日本経済新聞出版)の第1章を読んで、筆者が興味深いと思ったところを紹介しました。
この記事が、読者の皆様の日々の悩みを解決するための一助になれば、筆者としても大変嬉しく思います。
ここまでの内容で章一つ分ですので、残りの章も随時記事にまとめていければと思います。ご興味がございましたら、またお立ち寄りください。
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