はじめに
この記事は、『考えすぎて言葉が出ないがなくなる』(齋藤孝著、サンマーク出版)を読んで、筆者が印象に残ったポイントを紹介し、考えをまとめたものです。
人との会話で「何を話せばいいのか分からない」と感じた経験がある方には特におすすめしたい内容です。本書は、話す内容よりも「場」をどう作るかに重きを置くコミュニケーションの秘訣が詰まっています。
最後に、本書をおすすめしたい人についても触れていますので、購入の参考にしていただければ幸いです。
本書の内容について触れるため、一部ネタバレを含む可能性があることをご了承ください。
話の上手さと性格は関係がない?
まず印象的だったのは「話の上手さと性格は関係ない」という考え方です。
これは本書を通して一貫して著者が主張し続けていることで、コミュニケーションはあくまで技術であると断言されています。また、会話に苦手意識がある人の多くが、「自分は性格的に話をするのがうまくない」と性格や気質に理由を求めがちであるという点も指摘しています。
著者は、会話が得意な人は「自分が何を話すか」ではなく「この場をどう盛り上げるか」を常に考えていると述べています。つまり、自己主張よりも場全体への貢献を重視しているのです。話すことに自信がない人でも、場に貢献する意識を持つことで、会話が円滑になるという視点は新鮮でした。
これができるようになるにはやはり、会話について正しく知り、自信をもって会話に臨める状態をつくることが大切だと思いました。
会話の鉄則:「おもしろいことを言う」より「関心を示す」
本書では、コミュニケーションにおける鉄則がいくつか紹介されています。その中でも、特に納得できたのは「おもしろいことを言うよりも、相手に関心を示すこと」の重要性です。
会話が苦手な人は、無理にウケを狙ったり面白いことを言おうと考えすぎてしまうことが多いですが、著者は「相手に興味を持ち、関心を示すだけで十分」と強調しています。これはどうしてでしょうか。
その答えは、会話中の感情にあります。
著者は、会話は「感情のやり取り」でもあるとしています。つまり、会話においては言葉の内容以上に、相手がどう感じているか、どのような気持ちで話しているかに注意を払うことが大切だというのです。
会話は「意味」だけではない、ということを頭に入れて、相手の表情を見るようにしましょう。
中略
「意味」と「感情」を車の両輪のようにセットにして考えるのが、大人のコミュニケーションです。
本書40ページより
意味だけでなく相手の感情にも注意を払うことで、単なる言葉のやり取り以上の深いコミュニケーションが可能になります。
ですから、面白いこと(=話の内容)にこだわるのではなく、関心を向ける(=相手の感情に焦点を当てる)ことに集中するだけで十分なのです。
天気の話は侮れない
また、意外にも「天気の話」の重要性が強調されている点が興味深かったです。
天気の話題はありふれているため、軽視されがちですが、著者は「数秒の天気の会話で相手の機嫌や会話の雰囲気を見極めることができる」と述べています。
特に初対面や、相手の気持ちが読みづらい場合においては、天気の話題がコミュニケーションの入り口として非常に有効だとのことです。コミュニケーションにおけるジャブとして考えるとよいかもしれません。
筆者自身、使い古された話題で面白みがないと思って敬遠していましたが、使い古された話題には使い古されるだけの理由があるということに気づかされました。今後はもう少し天気の話題を意識的に使ってみようと思います。
会話が続かないときの「話の振り方」
もう一つ興味深いトピックとして、「話の振り方」が挙げられます。会話が途切れると焦ってしまうことはよくありますが、著者はこの状況をうまく切り抜けるための方法を提案しています。
話題は寿司のネタ⁉
話題を振る際には、あたかも「寿司のネタ」を差し出すかのように、いくつかの選択肢を用意しながら、相手の反応を見て進めていくことが重要だとされています。
お寿司が人気な理由は様々あると思いますが、その一つにネタの種類の豊富さがあるのは間違いないでしょう。例えば貝が苦手な人でも青魚なら食べられるといった具合に、いろいろな好みの人に対応できるのがその利点です。
これと同じことが話題を振るときにも言えます。つまり、話をしながら次の話題を一つ考えておくだけでは不十分で、何種類もネタを用意しておくのが大切だということです。何種類も用意しておけば、どれか一つくらいは相手の好みに合う可能性が高まり、会話が弾みやすくなります。
話題は狭く、具体的に
また、質問をする際にはざっくりとした質問ではなく、ネタを限定した上で選択肢を与えるのがポイントだとされています。
ネタを限定するとはどういうことか、本書に挙げられている具体例をもとに詳しく見ていきましょう。
相手に何か話題を振ろうとしている場面を考えます。
「ご趣味は?」という質問はどうでしょうか。この質問は一見何の問題もないように思えますが、かなり答え方の幅が広いため答えにくいうえに、人によっては詮索されているように感じるかもしれません。
では、「この動画にハマっているんですが、他におすすめの動画はありますか?」という質問の仕方はどうでしょうか。話題は寿司のネタであると先述しましたが、ここでは自分からネタを「動画」に絞っています。これにより、相手は漠然とした質問より答えやすく感じるはずです。
さらに注目すべきは、自分のハマっている動画を提示しながら相手のおすすめについて尋ねている点です。これなら相手は、おすすめの動画があればそれについて話を展開すればよいし、特にない場合は提示された動画についてそのまま話を進めればよいと感じます。つまり、相手が気持ちよく話せるように選択肢を与えているということです。
このように、話題を寿司のネタだと捉えていくつも選択肢を用意しつつ、そのネタの出し方にも気を付ける。これができるようになれば、会話が続かないという悩みも解消されること請け合いです。
まとめ
この本をおすすめしたいのはこんな人
- 人と話すと緊張してしまう
- 会話が続かなくて困ることが多い
- 自分は性格的に会話が苦手だと思っている
- すぐに使える会話のテクニックを知りたい
これらに当てはまるという方には、本書を読むことをおすすめします。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
本記事では、『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』(齋藤孝著、サンマーク出版)を読んで、筆者が興味深いと思ったところを紹介しました。
この記事が、読者の皆様のコミュニケーションに対する新たな気づきのきっかけになったのであれば、筆者としても大変嬉しく思います。
今後もさらに役立つ情報を提供できるよう、精進していきますので、ぜひまたお立ち寄りください。
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