『嫌われる勇気』(1)

人生哲学

はじめに

この記事は、『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)の第1章を読んで、筆者が印象に残ったポイントを紹介し、考えをまとめたものです。

筆者の解釈が多分に含まれる内容となっている点をご理解ください。また、本書の具体的な内容について触れるため、一部ネタバレを含む可能性があることもご了承ください。

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要約

アドラー心理学では、過去のトラウマや経験が現在を決定するという「原因論」を否定し、人は「いまこの瞬間の目的」によって行動していると考える「目的論」が導入されています。

本書の第一章では、「人は変われる」という前提に立ち、過去に縛られず未来を選び取る生き方について語られています。

怒りや不幸も、自らの目的に応じて選ばれているという視点は、従来の原因論的な「過去に囚われる考え方」とは一線を画します。

大切なのは過去ではなく、「いま、ここ」でどのように生きるかを自分で選び取ることなのです。

世界は「あなたの目」で形作られる

私たちは、世界がもともと複雑で混沌としていると感じがちです。
しかしアドラー心理学は、世界が複雑なのではなく、私たち自身が世界を複雑に意味づけていると教えます。

確かにあなたには、世の中は混沌に満ち、薄暗く見えているかもしれません。しかし、必ずしも世界のありのままの姿が見えているとは限りません。
もし曇ったサングラス越しに世界を見ているなら、必要なのは世界を変えることでも、世界に絶望することでもなく、サングラスを外す勇気だけなのです。
変えるべきは世界そのものではなく、世界をどう見るかという私たちの視点なのです。

世界を変えようとするより、自分の見方を変えるほうが、変化への現実的な一歩になるとアドラーは語ります。

過去ではなく「いま」の目的が行動を決める

「人は変われない」と思い込む原因は、過去の経験やトラウマが現在を決めるという「原因論」にあります。
原因論の立場に立てば、原因が結果を作るのだから、今のわたしたちにできることはないということになってしまいます。
しかしアドラーは、過去そのものには行動を決定づける力はないと断言します。

たとえば、過去の傷のせいで行動できないのではなく、行動しないために過去の経験から都合の良い理由を探してきているだけだという考えです。
すべては、いまこの瞬間の「目的」によって動いているというのがアドラーの立場です。

「過去に囚われる」ことから自由になれるかどうかは、自分自身が決めることなのです。

この考え方は一見するととても厳しい考え方に思えるかもしれません。
しかし実際は真逆で、人は過去に囚われない、だからいつからでもやり直せると勇気づけてくれているのです。

怒りも不幸も「選び取った感情」である

怒りもまた、無意識に爆発するものではなく、目的を持った行動の一部です。
少々きつい言い方になりますが、怒りとは目的のために人間が利用している道具だということです。

たとえば激しい口論の最中でも、電話が鳴れば一瞬で落ち着いた声に切り替わることがあります。
これは、怒りが意図的にコントロール可能なものである証拠です。

同様に、私たちが抱えている「不幸」もまた、選び取った感情だとアドラーは考えます。
これは何も、不幸という感情が偽物だという主張ではありません。この感情は紛れもなく本物です。

ですが、変わることへの不安と、現状への不満を天秤にかけた末に、多くの人は「変わらない」という選択を無意識に繰り返しているのです。

本当に必要なのは、「幸せになる勇気」です。
筆者なりに少し補足すると、「幸せになるために一歩を踏み出す勇気」です。

人生は「いま、ここ」で変えられる

過去に縛られている限り、私たちは行動できません。
それと同じことが、「もし~だったら」という可能性の世界に生き続けることにも言えます。

可能性の世界に生きている限り、私たちは前に進むことができません。
可能性は可能性のままにしておけば、その可能性が否定されることもないからです。
わかりにくい部分だと思うので、具体的な話に置き換えてみましょう。

たとえば、バンドマンになることを夢見る青年がいたとします。
彼は「いつか世界を驚かせる曲を作る」と言いながら、なかなか作曲に本腰を入れようとしません。

「今はまだ時期じゃない」「完璧なアイデアが浮かんだら始める」と、自分に言い訳をし続けているのです。
しかし本当は、曲を作り、それを誰かに聴かせることで傷つくのが怖いだけかもしれません。

このように「もし完璧な曲ができたら」という可能性にすがりつづける限り、彼は一歩も前に進むことはできないのです。

大切なのは、どんな過去があろうとも、いまこの瞬間から人生を選び直せるという事実です。
そして、その事実から目をそらさずに、まずはやってみること
です。

おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本記事では、『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)の第1章をもとに、筆者が特に興味深いと思ったところを紹介しました。

この記事が、読者の皆さまの日々の悩みや迷いを解決するためのヒントになれば、筆者にとってこれ以上の喜びはありません。

ご興味を持っていただけた方は、ぜひまた当ブログへお立ち寄りください。
また、今回の内容が少しでも面白いと思っていただけたのでしたら、ぜひ本書を手に取っていただけると幸いです。

すでに多くの人に愛されている一冊ではありますが、さらに多くの方にこの素晴らしい考えが届くことを願っています。

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